大クマとやじえもん(山崎)

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  1. 昔話・民話

 昔、山崎村に、やじえもんという若者(わかもの)がいました。
 毎日、毎日、えものをもとめて、山から谷、谷から山へと、走りまわっていました。しかし、今までに一度も、ウサギ一びきさえ、しとめたことがありませんでした。いざ、えものに出会うと、足はがたがた、手はぶるぶる、いくらねらいをさだめて打っても、たまが当たらないのです。それでも、やじえもんは、りっばなりようしになりたくて、今日も朝から谷の中に入っていきました。

 谷の中に入っていくと、とつぜん、ポーンとキツネが飛び出しました。ですが、やじえもんが火なわじゅうをむける間もなく、キツネは、たちまち森の中にかくれてしまいました。
「しまった。また、にげられた。」
やじえもんは、がっかりして、すわりこんでしまいました。
しばらくすると、立ち上がって言いました。
「どうしても、おれは、りょうしになるんだ。今に見ておれ、かならず大クマをしとめてみせるぞ。」
どんどこどんどこ、黒部川をさかのぽつていきました。すると、いつの問にか、柳又(やなぎまた)の谷と北又(きたまた)の谷が出会う広い川原(かわら)に来ました。

 そのときです。今まで見たことがないような大きなクマが、こっちを向いて、木のえだにぶら下がって遊んでいたのです。
 やじえもんは、おどろいて、思わず、息をのみこみました。
「これは、いいところへ来た。この大クマをしとめて、村のみんなを見かえしてやろう。」
やじえもんは、今度こそ、どじをふまぬようにと、そろりそろりと、かたから火なわじゅうをおろしました。
 むねはドキドキし、顔はふき出すあせでびっしょりです。
ぶるぶるふるえる手で、なんとか火なわじゅうをかまえると、大クマにむけて、えいっと引き金を引きました。

   ズドオン

 たまは、たしかに大クマのむなもとに、しっかりと命中(めいちゅう)しました。
 ところが、ふしぎなことに、大クマのすがたが、そのとたんにかき消すように、消えてしまったのです。まるでゆめのようです。やじえもんは、あわてふためいて、谷をはい上がりました。
 すると、大クマは、はるかむこうの谷で、楽しそうに一人でしこをふんでいました。
「ええい、今度こそ、のがさんぞ。」
やじえもんは、いわ場をムカデのようにはいつくばって、じりっ、じりっと進みました。大クマの後ろにまわりこむと、そのせ中に向かって、ふたたび火なわじゅうをかまえました。
来ました。

 とつぜん、ずっと先を歩いていた大クマのすがたがぱっと消えて、白いころもを着た神様があらわれました。
「やじえもん、わたしは立山ごんげんじゃ。お前の火なわじゅうのおかげで、こうして、ようやく立山にもどることができた。礼(れい)を言うぞ。」
「ふええっ。」
「わたしは、じごく谷がふん火したとき、柳又の谷に落ちこみ、クマになってしもうたんじゃ。それから今日まで、どんなに、この頂上に帰りたかったことか。お前が打ってくれなかったら、わたしは、まだクマのすがたで、谷でくらさなくてはならなかったのじゃ。お前のたまが命中するたびに、わたしは、だんだんと神にもどることができたのじゃ。お礼に、お前をりっばなりょうしにしてやろう。」
「ヘヘっ、おそれいります。」
やじえもんは、岩にひたいをすりつけて、ひれふしました。

こののち、やじえもんは、りょうに出ると、かならず大ものを、しとめることができるようになりました。それどころか、りょうの名人「やじえもんどん」と言われて、そんけいされたそうです。
 りっばなりょうになってからも、やじえもんは、神様のことをわすれませんでした。毎年、立山にのぽり、お酒をおそなえして、立山ごんげんさまをおがんだということです。

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