七本とうばと福ま (境)

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昔、境に関所(せきしょ)があったころの話です。福まという働(はたら)き者で力持ちの若者(わかもの)が、仏(ほとけ)の教えを深く信じているばあさまと、人でくらしていました。

 ある年の春、まだ山に雪がのこっているころのことです。
福まは、前の年の秋に集めておいたしばを「丸(まる)※1」にして、ふもとへ転がし落とす大仕事をしていました。とつぜん、ゴーッという音といっしょになだれがおき、福まは、あっというまに雪にのまれてしまいました。
 村人たちは、さがすあてもなく、どうすることもできません。悲しみにくれながら、福まのそう式をしました。
「かわいそうなことをしたのう。」
「なんでこんなことになったんじゃ。あんな働き者の福まが、
 ばあさまのこして死んでしもうた。」
 しかし、ばあさまだけは、どうしても福まが死んだとは思
えなくて、ボロ板を拾ってきては、とうば※2を作りました。そ
して、七日七晩(ばん)おにぎりをそなえて、
「なむだいし、へんじょう、こんごう。」
と、福まの無事(ぶじ)をいのり続けていました。

 福まがいなくなって七日ほどたったある日、村人たちが山へ仕事に出かけると、なんと、青白い顔をした福まが、岩の上にすわっていました。それを見た村人たちは、おどろきました。
「お前、よう生きとったの。どうしとったがじゃ。」
と、村人に聞かれ、福まは話し始めました。
「おらあ、なだれにまきこまれ、気がついたときには、もう体が動かなんだ。『このまま死ぬがやろか…。ばあさま助けてくれっせ!』とさけんどったら、急に目の前に、黒いころもの坊(ぼう)様があらわれて、にぎりめしをくれ、体をさすってくれっしゃったがや。そして、それから、毎日、毎日、七人の坊様が、かわるがわるやってきて、にぎりめしをくれっしゃったがや。ところが、その坊さまたちは、一人一-人みんな目や目や□などがない不自由(ふじゆう)な人ばっかりやった。でも、その坊様たちのおかげで、おらあ助かったがじゃ。」

 ばあさまが、拾ってきたボロ板で作ったとうばでも、信じて念仏(ねんぶつ)をとなえたからでしょうか。ボロ板のように、目や耳
のないすがたに身をかえた七人の仏様が、福まを助けにこられたのかもしれません。村人たちは、このふしぎなふしぎなありがたい出来事を語っては、手を合わせ、念仏をとなえたということです。


※1 まきはねんりょうとして大切だった。秋のうちにたばねておき、雪ののこる呑に、山から谷に転がした。
※2 死んだ人のくようのために、はか石のまわりに立てる細長い板のこと。

 

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